法律まめ知識アーカイブ

法律の学び方

司法試験に合格したという経験と,それにプラスして,現在,行政法の勉強を隙間時間に少しですが進めているので,そこからの気づきをもとに,「法律の学び方」を書きたいと思います。

1 全体像(全体構造)を理解する

  ともすれば条文の森に埋もれて,その法律の全体像(全体構造)を見失ってしまうと,どつぼにはまって,理解がおぼつかなくなります。常に,何のための法律か,全体として何を規律している法律か,どうしてそういう制度・条文・概念があるのか,という全体像(全体構造)を意識して勉強することが大事です。
  では,どのように全体像(全体構造)の押さえるかというと,教科書の序文(はしがき)と目次がポイントです。序文(はしがき)には,簡潔にその法律の要諦が書いてあることが多いです。次に,目次は,体系立てて意図を持ってあえて目次となっているので,全体像(全体構造)を押さえることができます。

2 定義をこつこつと覚えていく

  法律の本を読むと,専門用語が沢山出てきます。それだけで法律が嫌になる気持ちもわかるのですが,専門用語の概念・定義をこつこつと押さえていくと,だんだんとその法律が分かってきます。教科書をよく読むと,定義部分をひろうことができるので,定義部分はカッコでくくるなり,線を引くなり,色鉛筆やマーカーでマーキングするなりし,その定義をこつこつと覚えていくことが理想です。
  いま私がやっている行政法の勉強だと,公法私法二分論だとか,規制行政・給付行政だとか,行政行為だとか,初めて知る専門用語がどんどんでてきます。それをひとつひとつ定義を覚えていき,読み進めていくうちにまた同じ専門用語がでてきたときに,定義を思い出せなかったら,前に戻って定義部分を確認して覚え直し,前と後ろを行ったり来たりしながら教科書を読んでいくのがオーソドックスなやり方だと思います。

3 条文・判例に飛ぶ

  教科書を読んでいると,条文の番号が引用されていたり,判例百選の事件番号が引用されていたりします。これは,著者からの「この条文を見よ」「この判例百選の事件をみよ」というメッセージです。流し読みのとき,全体をざっとみたいときは条文・判例にまで目を通してられませんが,熟読するときは必ず条文・判例に飛び,そこを読んで知識を深めていくべきです。
  なお,条文を引いたときは,必ず条文の頭に鉛筆で丸印かチェックを入れて,条文をひいたぞという痕跡を残しておくと,再度見たときに記憶が強化されるのでおすすめです。
  あと,教科書,条文,判例百選等を読むときは,色鉛筆かマーカーで色分けしましょう。例えば,定義は緑,理由・趣旨は黄色,問題提起はオレンジ,自説はピンク,反対説は青,判例は紫,キーワードは赤というように(この色分けは私の色分けです)。

4 司法試験の過去問を解く

  ただ教科書を読むだけでは,深く考える癖が身に付かないので,司法試験の過去問を解いてみて,自分の到達度や理解を確かめることも必要です。
  過去問は,問題文を読んで,まず自分の頭で10~15分程度自分なりの答えを考えた後,解説や解答例を読んで,自分の考えがどのように間違えていたか,考え方の筋道をチェックすることが理想です。
  極論してしまえば,教科書を読むより先に,過去問を解くのが先とも言えます。
  過去問を制するものは司法試験を制するとも言います。なぜそのような問題が出題されたのか,出題趣旨を探ることで,司法試験ひいては法律家(法曹)に求められる素養・知識・能力が何なのかが分かります。
  蛇足ですが,司法試験の問題は,ひねりが加えられていてその場で考えさせる良問ぞろいです。会社法100問という問題集があるのですが,そこには司法試験の問題と会計士試験の問題が厳選されて掲載されているのですが,司法試験の問題の方が単に知識を聞くだけではなくて,色々と考えさせる良問が多いことに気付きます。

5 講義を聴く

  例えば,本を読むのが好きで,自分で次々に教科書を読んでいく力のある人は,それでいいのですが,私のように,法律の教科書を普通に読んでも,頭にすっきり入ってこず,いつも教科書の最初の方のページばかりで止まっていて,先に進まないようなずぼらなタイプの人,それと,できる限り合理的に勉強がしたいという人は,大学や予備校の講義を聴くことがおすすめです。講義を聴くにあたり,予習と復習ができれば更にいっそう力がつきます。
  講義は,テープに録音し(あるいはテープを買って),2回聞くのがおすすめです。それは,記憶の定着の意味と,1回目と2回目では,聞いていてフォーカスされる部分が異なり,違う聞き方ができるので,意味があるのです。
  講師は,大学であれば教授がいいです(特に司法試験の試験委員の経験があるほうがのぞましい)し,予備校であれば,看板講師がいいのではないでしょうか。私の知っているのは古いかもしれませんが,伊藤塾の伊藤先生,高野先生,山本先生,Wセミナーの熊谷先生,小塚先生,新保先生,LECの柴田先生,岩崎先生,辰巳の加藤先生,貞友先生などは私でも知っている有名講師だと思います。

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法律相談の心得

法律相談は,突然何を聞かれるか分からないので,いつも緊張します。
先日も新人弁護士から,同じ不安等を相談されました。

そこで,現時点での私なりの法律相談の心得を記したいと思います。

第1に,聞かれたことについて,法律(条文)があるかないか。を考える。
あるなら,条文を引き,リーガルマインドを駆使して解釈し,一定の答えを出す。

第2に,法律(条文)がなければ,似たような条文がないか。を考える。
あるなら,似た条文をリーガルマインドを駆使して解釈し,一定の答えを出す。

第3に,条文や似たような条文がないときは,もっぱら条理(慣習,経験則,信義則,常識)で考える。
条文がない以上,様々な考え方ができることを示すことが答えとなる。

簡単ですが以上が私の心得です。

なお,いきなり突拍子もない内容の法律相談というのは,実はありそうでなかなかありません。そのことは安心材料になります。普通は,債務整理とか,離婚とか,相続とか,賃貸借のトラブルとか,慰謝料請求とか,交通事故とかで,主たる法律相談はこのようなものがほとんどです。

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行為の個数

刑法で,行為の個数(専門的には,構成要件該当性の該当回数)の判断をいかにするかについて,学生から質問がありました。
とかく刑法の司法試験の論文の問題では,行為も抽象的であるため,司法試験受験生には実務のセンスの習得に苦慮するところです。

基本的には,行為は,客観面と主観面から成り立つので,この両面から,行為の個数を判断することとなります。
客観面からは,継続性や機会の同一性,社会的意味の同一性などが基準となります。
主観面からは,ずばり犯意(故意)の1個性を軸に,計画性や動機の同一性などが基準となると思います。

検事の経験からは,やはり犯意(故意)がポイントになっていると思います。
例えば,人を殺すつもりで同一機会に10回ナイフで刺したような場合は,10回のうち1回1回ごとに1個の行為とみるのではなく,10回で1個の行為と判断します。なぜなら,人を殺すという犯意(故意)は,1つで,それに支配されている個別所為の集合体であって,全体として行為は1個だと考えるからです。

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法律事務所事務員の呼び名

一般的にこの業界では,法律事務員を,色々な呼び名で呼びます。
代表的なものは,パラリーガル,秘書,事務員さん,です。

「パラリーガル」という呼び名は,どちらかというと法律職(色)が強い呼び方で,例えば,弁護士の指示に基づき判例や法律文献を調査したりすることを主な仕事とする法律事務員のことを言います。東京の大手事務所に多いです。
「秘書」という呼び名もされていて,これはどちらかというとブル弁(ブルジョア弁護士=お金持ちの弁護士)の下で働く法律事務員で,本当に秘書的な仕事,例えば,スケジュール管理などを中心として働く場合と言えます。東京のベテラン弁護士事務所に多いです。
一般的には,普通に「事務員さん」と呼んで,事務仕事を中心とする法律事務員の場合がほとんどです。うちもそうです。
他の士業と異なり「補助者」という呼び方はしないのも弁護士業界特有と思います。

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東京簡易裁判所民事部

今日,東京簡易裁判所(東京簡裁)の民事事件の第1回口頭弁論期日に出廷しました。
ちなみに,過払金返還請求訴訟です。
依頼者が遠方のため,相手方会社の本店所在地である東京簡裁に提訴しました。
東京簡裁は私自身はじめてでした。

びっくりしたのが,同じ時間に入れられている事件の「数」。
10:00に20件くらい
10:30に15件くらい
11:00に3件くらい
とても多いと思いました。

ほとんどがクレサラ会社が原告で債務者が被告の事件の,欠席判決(被告が答弁書を出さないので,擬制自白が成立し,原告勝訴の判決が下ります)なのも驚きました。
裁判官がてきぱきと事件を処理していました。

簡易裁判所の場合,会社の社員であれば,裁判所の許可で代理人になれます。
なので,許可代理人のオンパレード。
ここに弁護士代理の原則を貫いてもらうと,弁護士的には仕事が増えていいなあと,ふと思いました。

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藤沢のデパートで強盗? 窃盗と強盗の違い

先週,通勤の電車で「藤沢の小田急デパートに強盗が入ったらしいよ」という噂を耳にしました。
翌日の新聞に,「藤沢の小田急デパートで,深夜,2億円相当の宝石等が盗まれた。窃盗の容疑で捜査中。」という記事が書いてありました。

強盗と窃盗では全然違うなあと思ったのでしたが,普段同じように使われているのが現実です。その違いは何でしょうか?

窃盗の定義は,「占有者の意思に反し,財物の占有を排除し,自己または第三者の占有に移すこと」です。
これに対し,強盗の定義は,「暴行・脅迫により,相手方の反抗を抑圧し,その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移すこと」を言います。

共通点は,被害者の占有物を,自己または第三者の占有に移すことです。
根本的な違いは,その占有を移す態様の違いであり,強盗の場合は,暴行または脅迫により,相手の反抗を抑圧するのに対し,窃盗の場合は,そうではない点にあります。

例えば,万引きは,窃盗です。
銀行強盗は,窓口の銀行員に対し,「金を出せ」などと脅迫し,その意思を抑圧して,お金を奪取するので,強盗になります。

先の藤沢の小田急デパートの件は,深夜に,デパート内に侵入し,誰もいないなかで,宝石等を持ち去った事件であり,被害者の反抗を抑圧するような暴行・脅迫がなく,単に占有を自分達のもとに移したにすぎないため,窃盗になります。

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検察時代の官舎事情

最初に名古屋で入った官舎は,昭和40年代築の3Kで,団地タイプの官舎でした。
はっきり言ってボロボロで,トイレは和式,風呂はガス釜でした。
家賃は2万円くらいだった記憶です。

次に山形で入った官舎は,昭和50年代築の3DKで,団地タイプの官舎でした。
ほどよく手入れされていて,トイレは洋式,風呂はガス釜でした。
家賃は3万円くらいだった記憶です。

最後に横浜で入った官舎は,平成14年ころ築の3LDKで,マンションタイプの官舎でした。
ものすごくきれいで,ハイセンスな官舎でした。
家賃は5万円くらいだった記憶です。

検察官の官舎は,法務省が管理するもの(いわば直営のもの)と財務省が管理するもの(他の省庁の公務員も入ります)があります。
法務省系の官舎は,たいていは古くて安いです。
財務省系の官舎は,新しいものが多いです。
ただ,私の場合,名古屋・山形・横浜いずれも財務省系だった記憶です。

家賃は市価の5割程度でしょうか。
官舎の家賃は基本的に全国単位で決まっているのに対し,市価は地方が安くて都心部は高いことから,地方だとあまり割安感を感じませんが,都心部だと割安感をとても感じます。
ちなみに,官舎に入れば住宅手当はもちろん出ません。

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反対尋問の危うさ

証人尋問は,交互尋問という方法で行われます。
交互尋問とは,先に証人サイドの弁護士が主尋問を行い,主尋問がすべて終了した後,証人に敵対するサイドの弁護士が反対尋問を行うというように,尋問者が交互に変わる尋問の方法を言います。

証人は,反対尋問を想定してリハーサルが行われているため,反対尋問で弾劾(証言の信用性を揺るがすこと)するには,かなり難しいです。

たとえば,主尋問で「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」という風に根拠を聞くと,それなりの根拠を証言することになるため,証言が固まって,信用性が高まってしまうようなことがあります。
それを逆算すると,主尋問で,「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」と聞くのは,特別の事情がない限り,やめた方がいいという経験則が生じるのです。

昨日,2人の敵性証人(相手方サイドの証人)の反対尋問をしました。
こちらも,あらかじめ,色々考えて,証言の信用性を揺るがすような質問を用意しました。
それと,主尋問を聞いて,崩せそうなポイントがあったら,それも突くように考えました。
それでも,反対尋問して逆効果になる危うさを感じました。
その危うさを感じながら,なんとか頑張って,結果的には,ほぼ満足いく反対尋問ができたと思います。

検察時代は,被告人に対する質問は,常に反対尋問になるので,色々工夫しました。
弁護士になり,民事事件の反対尋問をするようになりましたが,検察時代とは違った難しさがあります。
経験を踏み,自分が工夫していくことと,他の弁護士,特に相手方弁護士の反対尋問をよく観察して,技を盗み,スキルをあげていくのが常道のように思います。
昨日の反対尋問もいい経験になりました。

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理想の弁護士(いい弁護士)とは

1 秘密を守る,口が堅い弁護士
  とにかく弁護士は依頼者のプライベートな問題を扱いますから,秘密が守れない弁護士は最悪です。
  ブログでも気をつけていますが,私は普段も,事件の話は人には一切しないか,したとしても(ほとんどありませんが),話をものすごく抽象化・単純化して,絶対に特定できないようにして話をします。
  こと事件のことに関しては口は堅くが大原則です。

2 日々進化する弁護士
  進化が止まっていてはいけないと思います。弁護士として必要とされる知識は,日進月歩です。常にアンテナを張り巡らせて,新しい知識はどんどん勉強し吸収しなければなりません。また,弁護士は,日々の仕事が常に新たな経験であり,仕事をすることにより,経験値が上がり,進化します。いろいろな面で,進化を日々達成する必要があると思います。進化のスピードは早ければ早いほどよいです。失敗からも多くを学びます。大きな失敗は回避しなければなりませんが,小さな失敗は繰り返して,どんどん進化したいです。

3 信頼される,安心感のある弁護士
  常に依頼者から依頼を受ける立場になる弁護士は,一定の第三者的立場を維持しつつ,依頼者の利益確保を最優先に行動しなければなりません。それでこそ信頼・安心感のある弁護士であると思います。1~2で書いたように,口が堅かったり,日々進化していたり,そういうところからも,信頼や安心感が生まれるはずです。依頼者から,信頼されなくなること,不安に思われることは,弁護士としてはとても残念なことです。

4 結果を出す,腕のいい弁護士
  いい弁護士になるには,普通の弁護士よりも努力することが求められると思います。日々努力する。人一倍努力する。最善を尽くす。そして,結果を出す。私自身,まだまだ若輩ですが,勝つべき事件に勝ち,負けそうな事件も何とか勝ち,結果を出す,いい腕を持つ弁護士でありたいと思いますし,いい腕の弁護士になれるよう努力していきたいと思います。

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人権享有主体性

人権を享有できる主体となりうる資格のことを「人権享有主体性」といいます。

人権とは,対国家との関係で人たるがゆえに有する権利のことを言います。
例えば,表現の自由,信教の自由,財産権,職業選択の自由,教育を受ける権利,生存権などがあります。

憲法上は,憲法の第3章に「国民の」とあるので,日本国民であれば,人権享有主体性があると言われます。
問題となるのは,法人,外国人,未成年,天皇,公務員,在監者です。
これらについては,いずれも,性質上可能な限り,人権享有主体性があると解されています。

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