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裁判員裁判
裁判員裁判の実施が迫ってきました。
平成21年5月までに,全国の地方裁判所で,裁判員裁判が実施されます。
制度の趣旨は,国民の刑事裁判(民事裁判ではない)に対する参加を求め,国民にわかりやすい司法・信頼される司法を目指すことにあります。
1つの事案につき,裁判官が3名,裁判員が6名の,合計9名で裁判体を構成します。
裁判員は何をするのかというと,他の裁判員及び裁判官とともに,
1 公判立会
2 評議・評決
① 有罪・無罪の判断(事実認定)
② 有罪の場合,どのような刑にするかの判断(量刑)
3 判決宣告の立会
をすることになります。
あくまで事件ごとの選任であり,かつ,少しでも裁判員の拘束時間を短縮するため,最大でも連日開廷で5日間程度と言われています。
日当が出ます。その金額はネットで検索すると正確に分かると思いますが,私の古い記憶では1日7000円程度との覚えです。
裁判員対象事件は,刑事裁判のうちでも,一定の重大事案に限ります。例えば,
1 殺人罪
2 強盗致傷罪
3 傷害致死罪
4 現住建造物等放火罪
5 身代金目的誘拐罪
などです。
裁判員の選任は,有権者の中からくじで抽選します。
選ばれる確率はというと,年間で裁判員裁判対象事件数を250件と想定した場合
神奈川県民約700万人
↓くじ
裁判員候補者名簿に登載(1事件50~100名) 12500~25000人
↓くじ
裁判員候補者の決定(250件×6名) 1500人
↓呼出
選任・決定 1500人/700万人→0.02% 4666人に1人の確率
となります。
こうして選ばれたとしても,やむを得ない理由で裁判員ができない方もいると思います。
すなわち,辞退ができる場合もあり,例えば,
1 70歳以上の人
2 学生,生徒
3 やむを得ない事情(重い疾病,介護,葬式等)
などの場合は,辞退ができます。
裁判員裁判用法廷には,書画カメラやパソコンのモニターなどが整備されています。
これは,これまでの書面主義を脱却し,裁判員ひいては傍聴人に証拠や検察官・弁護人の主張がわかりやすいように,パワーポイント等を使ったプレゼンテーションやわかりやすい口頭説明を要求しているものと言えます。
弁護士会でも,裁判員裁判用にプレゼンテーションの講義が開催されたりしており,変化の時代を迎えていると言って過言ではありません。
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公判検事の風呂敷包み
公判検事は,裁判記録を風呂敷包みにして,公判廷に持参します。
これは古くからの伝統です。
この実質的な意味としては,公判廷への行きは,裁判所に提出する裁判記録を大量に持参する必要があるのに対し,公判廷からの帰りは,裁判記録を裁判所に提出してしまうので,ほとんど持ち帰る書類がないことから,行きは大きく帰りは小さくという伸縮自在のきく風呂敷がとても便利がいいからと言われています。
確かに,その通りだと私は思っています。
なお風呂敷の色は,検察の色である「紺」の風呂敷が使われるのが通常です。
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刑訴法332条の移送
刑訴法332条は,刑事事件の簡易裁判所から地方裁判所への移送を定めています。
要件は,「地方裁判所において審判するのを相当と認めるとき」です。
事案が複雑な場合,法解釈が複雑な場合などが挙げられます。
先日,簡易裁判所に起訴された傷害事件について,捜査段階では自白していたものの,起訴後,私がよくよく聞いてみると,「自分は実はやってない」とのことだったので,公判で否認に転じた国選弁護事件があり,今後,証人尋問等の必要があることから,刑訴法332条の移送になったものがありました。
簡易裁判所の裁判官が,冒頭手続の終了後,いとも簡単に「本件は刑訴法332条により地方裁判所に移送します」と言って,法廷が終了になってしまったのがとても印象的でした。
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殺意の認定
殺人罪で起訴されたが,被告人は「殺すつもりはなかった」と弁解している場合(殺意の否認)が,よくニュースで「起訴事実を否認し,殺意はないと弁解しました」と報道されるなど,ままあります。
ここで争点となるのが「殺意の認定」です。
前提知識から説明します。
殺意とは,人を殺す行為(殺人行為)を認識し認容する意思のこと(簡単に言えば,人を殺すつもりで殺人行為をすること)を言います。
殺人行為とは,人の生命を断絶するに足りる現実的危険性を有する行為を言います。
例えば,人に向けてマシンガンを乱射する行為は,人の生命を断絶するに足りる現実的危険性を有する行為であり,殺人行為です。
この殺人行為を認識し,認容(殺してもかまわないと思う)すれば,殺意が認められます。
なお,殺意には,大きく2つに分けて,確定的殺意と,未必的殺意があります。
確定的殺意とは,積極的に「殺してやる」との意思を有する場合です。
未必的殺意とは,消極的に「殺してやるとまでは思わないが,死んでも構わない」との意思を有する場合です。
殺意の認定は,検察側としては,それをどのように裁判官に認めてもらうか,弁護側としては,認めてもらわないようにするか,が裁判の争点・大きなポイントになります。
このような場合,証拠裁判主義をとる我が国の裁判制度のもとでは,行為の客観的状況(客観面)を証拠で認定し,そこから殺意を認定する手法がとられます。
まずは,行為態様,凶器を見ます。
人に向けてマシンガンを乱射していた被告人が,「人を殺すつもりはなかった」と言ったとしても,人に向けてマシンガンを乱射する行為自体,殺人行為としての危険性が高いので,それを行う場合,殺す意思はあるだろうという思考パターンがとられ,殺意が認定されます。
人をナイフで突き刺した被告人だったらどうでしょうか。
人体の枢要部(心臓や頭)を狙っているか,刺した回数はどうか,傷の深さはどうか,ナイフの刃渡りはどうか,ということを総合的に考えて,殺意を認定します。
例えば,刃渡り20センチのナイフで,心臓付近を5回深く刺していた場合,これは強固な殺意が認定されると思われます。
逆に,刃渡り5センチのナイフで,右腕付近を2~3回浅く切りつけていた場合,これは殺意は認められないでしょう。
次に,動機も見ます。
その被告人に被害者を殺す動機があったか。怨恨等がなかったか。これも関係者の供述から明らかにされ,動機があったかを見ます。
ほかにも,判断要素はありますが,大まかには,以上のような要素から被告人をとりまく客観的状況を総合的に認定し,客観面から,殺意があったか否かを判断するのです。
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刑事訴訟法における被害者保護
被害者は刑事訴訟法においてどのように保護されているのでしょうか。
被害者は捜査段階では重要な証言者として取調べの対象となります。
被害者調書として証拠になります。
被告人が起訴されると,原則として,被害者調書が証拠調べされますが,例外的に,被害者が証人として証人尋問されることもあります。
裁判に出廷して証人尋問されることになると,プレッシャー等や追体験等の2次的な被害が想定されます。そのため,憲法と刑事訴訟法には,証人保護の規定があります。
(従来の制度)
1 公開停止措置(憲法82条2項)
裁判所は,例えば,強姦の被害者が被害時の具体的状況を証言しなければならないときなどについて,「善良の風俗を害する虞」があるとして,公開停止措置をとることができます。
2 期日外証人尋問(刑訴法158条,281条)
公判廷以外のところで,証人尋問をすることができます。
しかし,被害者が公判期日に出頭可能であればこの措置はとれず,実効性がありません。
3 被告人の退廷(刑訴法304条の2)
証人が被告人の面前においては圧迫を受け十分な供述ができないとき,認められます。
(平成12年改正による新たな証人尋問措置)
1 付添人(刑訴法157条の2)
証人の不安や緊張を和らげるため,証人にとって信用できる付添人を証人の傍らに付き添わせることができます。
2 遮へい措置(刑訴法153条の3)
証人が被告人の面前において証言すると,圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがある場合で,相当とみとめるときは,ついたてを置くなどの遮へい措置ができます。
3 ビデオリンク方式による証人尋問(刑訴法157条の4)
証人に別室にいてもらい,ビデオ回線で法廷とつなぐ方法です。圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがある場合に認められます。
以上のような制度により,証人が落ち着いてしっかりと証言できるように工夫がなされているのです。
さらに,近時,もっと被害者の保護の理念を押し進めて,被害者が,被告人に対し,独自に求刑の意見を述べることができる制度等を盛り込んだ改正法案がされています。
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被疑者と被告人の違い
- 2007-11-26 (月)
- 刑事訴訟法
似たもの用語として、「被疑者」と「被告人」があります。区別をご存じですか?
簡単に言ってしまうと、起訴される前の捜査段階が被疑者であり、起訴された後の公判段階が被告人ということになります。被告人の「告」には「起訴」という意味が含まれるんですね。ですから、起訴されたら被告人になるということです。
ちなみに、起訴される前の犯罪事実のことを「被疑事実」と言い、起訴された後の公判段階の犯罪事実のことを「公訴事実」と言います。
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起訴猶予と執行猶予の違い
- 2007-09-24 (月)
- 刑事訴訟法
似たもの用語シリーズですが、起訴猶予と執行猶予の違いはご存知でしょうか。
まず、起訴猶予を説明します。捜査が始まり、事件が検察官に送致(送検)された後、検察官は、起訴するかどうかを判断します。このとき、事案や被害の小ささ、被害回復がなされていること、被疑者が反省していること、前科がないことなどを被疑者に有利な事情を考慮し、犯罪事実は認められるけれども、あえて起訴をするまでもないとして、起訴をしないという判断をする場合があります。それが起訴猶予です。
これに対し、執行猶予というのは、起訴された後、裁判(公判)になり、判決を下すに至ったときに、判決を下す裁判官が、被告人にとって有利な事情を考慮し、とりあえずは実刑にしない場合を言います。例えば、懲役1年執行猶予3年という形で判断がなされますが、この場合は、懲役1年については、3年間、その刑の執行を猶予し、この期間をまじめにすごぜば、懲役1年の処分はなかったことになるというものです。これが執行猶予です。
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