甲さんが,乙さんに,車を売ったとします(民法555条-売買契約)。
車の所有権は,原則として契約時に,乙に移転します。
ところが,乙さんが甲さんを騙したため,甲さんは売ってしまったとします。
これは,詐欺(民法96条)で,甲さんは,売買契約を取消しすることができます。
取消権は,取消権行使の意思表示により,効果が生じ,その効果は,遡及的無効です(民法121条)。遡及的無効とは,はじめに遡って無効になる,すなわち,最初から実は無効であった,という意味です。
取消権行使により,甲さんが乙さんに車を売ったことは遡って無効になることになります。
すなわち,最初からなかったことになるはずなのですが,観念的には,一度乙さんに所有権が移転したものが甲に戻るようにみえると考えることもできます。
それを復帰的物権変動といい,判例法理にも出てくるのですが,論理的には遡及的無効と完全に矛盾します。
その矛盾を頭の中で消化できない(割り切ることができない)と,法律の勉強は進みません。
そういう論点がほかにもたくさんあるので,法律を難しくしていると思います。